LED は、電源へそのままつなぐのではなく、流す電流を決めて使う部品です。直列抵抗は、電源電圧から LED の順方向電圧を引いた残りを受け持ち、LED 電流を決めます。
$$R = \frac{V_S – V_F}{I_F}$$
- 抵抗値は、電源電圧と LED の順方向電圧の差を目標電流で割って決めます。
- 同じ抵抗でも、順方向電圧 \(V_F\) が低い LED ほど電流が増えます。
- 抵抗の電力損失は \(P_R = I_F^2R\) で決まり、定格に余裕が必要です。
- LED の \(V_F\) は代表値であり、型番・電流・温度・個体差で変わります。
- ブレッドボードでは、電源電圧、抵抗値、LED 電流を実測して照合します。
この記事の表は、手計算でも追える形で数値を出しています。条件を変えて再計算する場合は、表計算や Python で同じ式を並べると確認しやすくなります。
直列抵抗で LED の電流を決める理由
LED は、順方向にすると電流が流れます。ただし、順方向電圧が上がると電流が急に増えやすく、電圧だけでは電流を決めにくい部品です。だから電源へ直接つなぐ設計には向きません。電流が増えると LED の発熱も増え、温度上昇、劣化、破損につながります。
直列抵抗は、電源電圧 \(V_S\) と LED の順方向電圧 \(V_F\) の差分を受け持ちます。だから設計では、最初に「どれくらいの電流で点灯させるか」を決め、その電流になる抵抗値を計算します。
$$R = \frac{V_S – V_F}{I_F}$$
- \(R\): 直列抵抗 [Ω]
- \(V_S\): 電源電圧 [V]
- \(V_F\): LED の順方向電圧 [V]
- \(I_F\): LED の順方向電流 [A]
同じ式を電流について解くと、実際に流れる電流を見積もれます。
$$I_F = \frac{V_S – V_F}{R}$$
例として、\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\)、\(I_F = 10\ \mathrm{mA}\) とします。\(10\ \mathrm{mA} = 0.010\ \mathrm{A}\) なので、
$$R = \frac{5.0 – 2.0}{0.010} = \frac{3.0}{0.010} = 300\ \Omega$$
となります。LED の \(V_F\) を引いた残りの 3.0 V が抵抗にかかります。だから同じ 10 mA を流したいなら、抵抗は 300 Ω になります。
\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) として、電源電圧と目標電流を振ると次の通りです。
| 電源電圧 \(V_S\) | \(I_F = 5\ \mathrm{mA}\) | \(I_F = 10\ \mathrm{mA}\) | \(I_F = 20\ \mathrm{mA}\) |
|---|---|---|---|
| 3.3 V | 260 Ω | 130 Ω | 65.0 Ω |
| 5.0 V | 600 Ω | 300 Ω | 150 Ω |
| 9.0 V | 1,400 Ω | 700 Ω | 350 Ω |
電源電圧が上がると、抵抗にかかる電圧も増えます。だから同じ電流に抑えるには、抵抗値を大きくします。逆に、電流を 2 倍にすると必要な抵抗値は半分になります。
計算式と単位つきの具体例
代表的な条件で、抵抗値、抵抗の損失、LED の消費電力まで計算します。式は次の 3 つです。
$$R = \frac{V_S – V_F}{I_F}$$
$$P_R = I_F^2R = (V_S – V_F)I_F$$
$$P_{LED} = V_F I_F$$
- \(P_R\): 抵抗の電力損失 [W]
- \(P_{LED}\): LED が受ける電力 [W]
\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.1\ \mathrm{V}\)、\(I_F = 15\ \mathrm{mA}\) とします。\(15\ \mathrm{mA} = 0.015\ \mathrm{A}\) です。
$$R = \frac{5.0 – 2.1}{0.015} = \frac{2.9}{0.015} = 193.3\ \Omega$$
抵抗の損失は、
$$P_R = (5.0 – 2.1) \times 0.015 = 2.9 \times 0.015 = 0.0435\ \mathrm{W}$$
LED 側の電力は、
$$P_{LED} = 2.1 \times 0.015 = 0.0315\ \mathrm{W}$$
です。計算上の抵抗値は 193.3 Ω なので、実際には標準抵抗値から近い値を選び、選んだ抵抗で電流を再計算します。
次に、\(V_S = 12.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\)、\(I_F = 20\ \mathrm{mA} = 0.020\ \mathrm{A}\) とします。
$$R = \frac{12.0 – 2.0}{0.020} = \frac{10.0}{0.020} = 500\ \Omega$$
$$P_R = 10.0 \times 0.020 = 0.200\ \mathrm{W}$$
$$P_{LED} = 2.0 \times 0.020 = 0.0400\ \mathrm{W}$$
12 V 系では、LED より抵抗で消費する電力のほうが大きくなります。だから電源電圧が高い回路では、抵抗値だけでなく抵抗の定格電力も同時に見ます。
\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\) として、\(V_F\) と \(I_F\) を振った抵抗値は次の通りです。
| \(V_F\) | \(I_F = 5\ \mathrm{mA}\) | \(I_F = 10\ \mathrm{mA}\) | \(I_F = 20\ \mathrm{mA}\) |
|---|---|---|---|
| 1.8 V | 640 Ω | 320 Ω | 160 Ω |
| 2.0 V | 600 Ω | 300 Ω | 150 Ω |
| 2.2 V | 560 Ω | 280 Ω | 140 Ω |
電流が同じでも、\(V_F\) が高いと抵抗にかかる電圧は小さくなります。だから抵抗値も小さくなります。LED の色や型番を変えたら、同じ電流でよいかを決め直してから抵抗値を再計算します。
抵抗の電力定格をどう見るか
抵抗は電圧を受けて熱を出します。求めた損失 \(P_R\) が抵抗の定格電力を超えると、温度上昇が大きくなり、抵抗値の変化や劣化につながります。
抵抗損失は次のどちらでも求められます。
$$P_R = I_F^2R$$
$$P_R = (V_S – V_F)I_F$$
この式は、直列抵抗 1 本と LED 1 個の定常点灯を前提にしています。点滅駆動やパルス駆動では、ピーク電流と平均電力を別に見ます。
\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) では、抵抗にかかる電圧は 3.0 V です。このときの損失は次の通りです。
| 電流 \(I_F\) | 設計抵抗 \(R\) | 抵抗損失 \(P_R\) | 0.125 W 定格に対する余裕 | 0.25 W 定格に対する余裕 | 0.5 W 定格に対する余裕 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5 mA | 600 Ω | 0.015 W | 8.33 倍 | 16.7 倍 | 33.3 倍 |
| 10 mA | 300 Ω | 0.030 W | 4.17 倍 | 8.33 倍 | 16.7 倍 |
| 15 mA | 200 Ω | 0.045 W | 2.78 倍 | 5.56 倍 | 11.1 倍 |
| 20 mA | 150 Ω | 0.060 W | 2.08 倍 | 4.17 倍 | 8.33 倍 |
この表では、電源電圧と \(V_F\) が固定なので、設計点の損失は電流に比例して増えます。一方、同じ抵抗を使ったまま電流が増えた場合は \(P_R = I_F^2R\) なので、損失は電流の 2 乗で増えます。
たとえば 150 Ω の抵抗に 10 mA、15 mA、20 mA が流れると、損失は次のようになります。
- \(0.010^2 \times 150 = 0.0150\ \mathrm{W}\)
- \(0.015^2 \times 150 = 0.0338\ \mathrm{W}\)
- \(0.020^2 \times 150 = 0.0600\ \mathrm{W}\)
電流を 10 mA から 20 mA にすると 2 倍ですが、同じ抵抗での発熱は 4 倍になります。だから連続点灯では、計算値が定格以内でも、周囲温度、密閉、部品配置による放熱条件を見込んで余裕を持たせます。抵抗のデータシートにディレーティングがある場合は、それを優先します。
色ごとの LED で Vf が違うと何が変わるか
LED の順方向電圧は色で変わります。赤、黄、緑、青、白で代表値が異なり、同じ色でも型番と電流で変わります。ここでは固定値ではなく、計算例として \(V_F\) を振ります。
\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(R = 330\ \Omega\) のとき、実際の電流は次の式で求まります。
$$I_F = \frac{V_S – V_F}{R}$$
たとえば \(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) なら、
$$I_F = \frac{5.0 – 2.0}{330} = \frac{3.0}{330} = 0.00909\ \mathrm{A} = 9.09\ \mathrm{mA}$$
です。\(1\ \mathrm{A} = 1,000\ \mathrm{mA}\) なので、0.00909 A は 9.09 mA です。
| \(V_F\) の例 | R = 220 Ω | R = 330 Ω | R = 470 Ω |
|---|---|---|---|
| 1.8 V | 14.5 mA | 9.70 mA | 6.81 mA |
| 2.0 V | 13.6 mA | 9.09 mA | 6.38 mA |
| 2.2 V | 12.7 mA | 8.48 mA | 5.96 mA |
| 3.0 V | 9.09 mA | 6.06 mA | 4.26 mA |
\(V_F\) が低い LED ほど、抵抗にかかる電圧が大きくなります。だから同じ抵抗を使うと電流が増え、色ごとの明るさもそろいません。
3.3 V 系では、青色や白色など \(V_F\) が高い LED で抵抗に残る電圧が小さくなります。たとえば \(V_S = 3.3\ \mathrm{V}\)、\(R = 220\ \Omega\) では、\(V_F = 1.9\ \mathrm{V}\) で 6.36 mA、\(V_F = 2.1\ \mathrm{V}\) で 5.45 mA、\(V_F = 3.0\ \mathrm{V}\) で 1.36 mA です。
複数色を同じ電源で使う場合は、色ごとに抵抗を分けるのが基本です。色の違いを無視して同じ抵抗値を使うと、\(V_F\) の低い LED に電流が多く流れます。
ばらつき・温度・電源誤差で実際の電流はどうずれるか
LED の \(V_F\) は代表値であり、固定値ではありません。同じ型番でも個体差があります。また、温度が上がると一般に \(V_F\) は下がる方向に働くため、同じ抵抗では電流が増えやすくなります。
電源電圧も、公称 5 V ぴったりとは限りません。USB 電源、実験用電源、マイコン基板の 5 V ラインでは、負荷や配線抵抗で実測値が変わります。だから設計値だけでなく、マルチメータで電源電圧と LED 電流を確認します。
\(R = 330\ \Omega\) として、\(V_S\) と \(V_F\) を振ると次の通りです。
| 電源電圧 \(V_S\) | \(V_F = 1.8\ \mathrm{V}\) | \(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) | \(V_F = 2.2\ \mathrm{V}\) |
|---|---|---|---|
| 4.75 V | 8.94 mA | 8.33 mA | 7.73 mA |
| 5.00 V | 9.70 mA | 9.09 mA | 8.48 mA |
| 5.25 V | 10.5 mA | 9.85 mA | 9.24 mA |
たとえば \(V_S = 5.25\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 1.8\ \mathrm{V}\) なら、
$$I_F = \frac{5.25 – 1.8}{330} = \frac{3.45}{330} = 0.01045\ \mathrm{A} = 10.5\ \mathrm{mA}$$
です。\(V_S = 4.75\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.2\ \mathrm{V}\) の 7.73 mA と比べると、同じ 330 Ω でも約 1.35 倍の差になります。
電源誤差と LED ばらつきが重なると、設計電流を超えやすくなります。だからデータシートの絶対最大定格を上限として、代表値ではなく最悪条件側でも電流を確認します。
よくある失敗と確認手順
LED 回路の不具合は、症状から原因を絞れます。まず電流を測ると、抵抗値の選定ミス、\(V_F\) の見込み違い、配線ミスを分けやすくなります。
| 症状 | 原因の候補 | 確認方法 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 予想より明るい | 抵抗値が小さい、\(V_F\) が低い、電源電圧が高い | LED と直列に電流計を入れて測る | 抵抗を大きくする、目標電流を下げる |
| 暗い | 抵抗値が大きい、\(V_F\) が高い、電源電圧が低い | 電源電圧と抵抗両端電圧を測る | 抵抗を再計算する |
| LED が熱い | 電流が大きい、定格に近い | LED 電流と点灯時間を確認する | 電流を下げる、電流と電力を定格内にする |
| 抵抗が熱い | 抵抗損失が大きい、定格余裕が小さい | \(P_R = I_F^2R\) で損失を計算する | 定格の大きい抵抗にする、電流を下げる |
| すぐ壊れる | 抵抗なし、極性違い、過電流 | 配線と抵抗値を確認する | 直列抵抗を入れ、絶対最大定格を超えない |
5 V 系で \(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) とすると、20 mA 設計では
$$R = \frac{5.0 – 2.0}{0.020} = 150\ \Omega$$
$$P_R = 3.0 \times 0.020 = 0.060\ \mathrm{W}$$
です。これを 10 mA 設計に下げると、
$$R = \frac{5.0 – 2.0}{0.010} = 300\ \Omega$$
$$P_R = 3.0 \times 0.010 = 0.030\ \mathrm{W}$$
になります。電流を半分にすると明るさは下がりますが、LED と抵抗の発熱も下がります。試作で寿命や温度上昇を優先するなら、最初から低めの電流で始めるほうが、過電流と発熱の余裕を取りやすくなります。
配線後に設計値より大きい電流が流れた場合は、次の順で確認します。
1. 電源電圧を LED 回路の近くで測る。2. 抵抗の実測値を測る。3. LED の向きと配線を確認する。4. 抵抗両端の電圧を測り、\(I = V_R / R\) で電流を再計算する。5. LED のデータシートで \(V_F\) の代表値と範囲、許容電流を確認する。
抵抗の色コードだけで判断すると、読み違いや桁違いが起きます。計算値、実装した抵抗値、実測電流を照合すると、原因を分けやすくなります。
ブレッドボードでの実務上の決め方
ブレッドボードでは、最初に代表値で計算し、次に実測で確認します。設計電流は LED の絶対最大定格より十分低く置きます。表示用 LED では、用途と周囲の明るさによっては、数 mA から 10 mA 程度でも必要な明るさを得られる場合があります。
\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) として、電源電圧と目標電流を振った計算例です。
| 電源電圧 \(V_S\) | 5 mA | 10 mA | 15 mA |
|---|---|---|---|
| 3.3 V | 260 Ω、0.0065 W | 130 Ω、0.013 W | 86.7 Ω、0.0195 W |
| 5.0 V | 600 Ω、0.015 W | 300 Ω、0.030 W | 200 Ω、0.045 W |
| 12.0 V | 2,000 Ω、0.050 W | 1,000 Ω、0.100 W | 667 Ω、0.150 W |
表の各セルは「抵抗値、抵抗損失」です。たとえば 12 V 系、10 mA では、
$$R = \frac{12.0 – 2.0}{0.010} = 1,000\ \Omega$$
$$P_R = 10.0 \times 0.010 = 0.100\ \mathrm{W}$$
となります。12 V 系では 5 V 系より抵抗損失が大きくなるため、小形抵抗を定格ぎりぎりで使わないようにします。
複数の LED を並べる場合、各 LED に個別抵抗を付けるのが基本です。共通抵抗 1 本で複数 LED を並列にすると、\(V_F\) の低い LED に電流が寄りやすくなります。だから実務では、1 個の LED に 1 本の抵抗を割り当て、色ごと・型番ごとに計算します。
標準抵抗値を選ぶときは、計算値ぴったりがないことがあります。安全側に寄せるなら、計算値より少し大きい抵抗を選び、選んだ抵抗で \(I_F = (V_S – V_F)/R\) を再計算します。
まとめ
- LED の直列抵抗は、\(R = (V_S – V_F)/I_F\) で決めます。
- 抵抗損失は \(P_R = I_F^2R\) または \((V_S – V_F)I_F\) で確認します。
- \(V_F\) は代表値であり、色、型番、温度、個体差で変わります。
- 電源誤差と \(V_F\) ばらつきが重なる条件で、電流が定格を超えないかを見ます。
- ブレッドボードでは、計算値、抵抗の実測値、LED 電流を照合してから連続点灯させます。
