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LED直列抵抗の計算|順方向電圧・許容電流・電力損失の見積もり

LED を安全に点灯させる直列抵抗の決め方を、電源電圧・順方向電圧・目標電流から計算します。抵抗値だけでなく、抵抗の電力損失、LED の色による Vf 差、定格に対する余裕まで判断できるようにします。

DOC NO.EKP-04-1439
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LED は、電源へそのままつなぐのではなく、流す電流を決めて使う部品です。直列抵抗は、電源電圧から LED の順方向電圧を引いた残りを受け持ち、LED 電流を決めます。

$$R = \frac{V_S – V_F}{I_F}$$

  • 抵抗値は、電源電圧と LED の順方向電圧の差を目標電流で割って決めます。
  • 同じ抵抗でも、順方向電圧 \(V_F\) が低い LED ほど電流が増えます。
  • 抵抗の電力損失は \(P_R = I_F^2R\) で決まり、定格に余裕が必要です。
  • LED の \(V_F\) は代表値であり、型番・電流・温度・個体差で変わります。
  • ブレッドボードでは、電源電圧、抵抗値、LED 電流を実測して照合します。

この記事の表は、手計算でも追える形で数値を出しています。条件を変えて再計算する場合は、表計算や Python で同じ式を並べると確認しやすくなります。

目次

直列抵抗で LED の電流を決める理由

LED は、順方向にすると電流が流れます。ただし、順方向電圧が上がると電流が急に増えやすく、電圧だけでは電流を決めにくい部品です。だから電源へ直接つなぐ設計には向きません。電流が増えると LED の発熱も増え、温度上昇、劣化、破損につながります。

直列抵抗は、電源電圧 \(V_S\) と LED の順方向電圧 \(V_F\) の差分を受け持ちます。だから設計では、最初に「どれくらいの電流で点灯させるか」を決め、その電流になる抵抗値を計算します。

$$R = \frac{V_S – V_F}{I_F}$$

  • \(R\): 直列抵抗 [Ω]
  • \(V_S\): 電源電圧 [V]
  • \(V_F\): LED の順方向電圧 [V]
  • \(I_F\): LED の順方向電流 [A]

同じ式を電流について解くと、実際に流れる電流を見積もれます。

$$I_F = \frac{V_S – V_F}{R}$$

例として、\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\)、\(I_F = 10\ \mathrm{mA}\) とします。\(10\ \mathrm{mA} = 0.010\ \mathrm{A}\) なので、

$$R = \frac{5.0 – 2.0}{0.010} = \frac{3.0}{0.010} = 300\ \Omega$$

となります。LED の \(V_F\) を引いた残りの 3.0 V が抵抗にかかります。だから同じ 10 mA を流したいなら、抵抗は 300 Ω になります。

\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) として、電源電圧と目標電流を振ると次の通りです。

電源電圧 \(V_S\)\(I_F = 5\ \mathrm{mA}\)\(I_F = 10\ \mathrm{mA}\)\(I_F = 20\ \mathrm{mA}\)
3.3 V260 Ω130 Ω65.0 Ω
5.0 V600 Ω300 Ω150 Ω
9.0 V1,400 Ω700 Ω350 Ω

電源電圧が上がると、抵抗にかかる電圧も増えます。だから同じ電流に抑えるには、抵抗値を大きくします。逆に、電流を 2 倍にすると必要な抵抗値は半分になります。

計算式と単位つきの具体例

代表的な条件で、抵抗値、抵抗の損失、LED の消費電力まで計算します。式は次の 3 つです。

$$R = \frac{V_S – V_F}{I_F}$$

$$P_R = I_F^2R = (V_S – V_F)I_F$$

$$P_{LED} = V_F I_F$$

  • \(P_R\): 抵抗の電力損失 [W]
  • \(P_{LED}\): LED が受ける電力 [W]

\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.1\ \mathrm{V}\)、\(I_F = 15\ \mathrm{mA}\) とします。\(15\ \mathrm{mA} = 0.015\ \mathrm{A}\) です。

$$R = \frac{5.0 – 2.1}{0.015} = \frac{2.9}{0.015} = 193.3\ \Omega$$

抵抗の損失は、

$$P_R = (5.0 – 2.1) \times 0.015 = 2.9 \times 0.015 = 0.0435\ \mathrm{W}$$

LED 側の電力は、

$$P_{LED} = 2.1 \times 0.015 = 0.0315\ \mathrm{W}$$

です。計算上の抵抗値は 193.3 Ω なので、実際には標準抵抗値から近い値を選び、選んだ抵抗で電流を再計算します。

次に、\(V_S = 12.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\)、\(I_F = 20\ \mathrm{mA} = 0.020\ \mathrm{A}\) とします。

$$R = \frac{12.0 – 2.0}{0.020} = \frac{10.0}{0.020} = 500\ \Omega$$

$$P_R = 10.0 \times 0.020 = 0.200\ \mathrm{W}$$

$$P_{LED} = 2.0 \times 0.020 = 0.0400\ \mathrm{W}$$

12 V 系では、LED より抵抗で消費する電力のほうが大きくなります。だから電源電圧が高い回路では、抵抗値だけでなく抵抗の定格電力も同時に見ます。

\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\) として、\(V_F\) と \(I_F\) を振った抵抗値は次の通りです。

\(V_F\)\(I_F = 5\ \mathrm{mA}\)\(I_F = 10\ \mathrm{mA}\)\(I_F = 20\ \mathrm{mA}\)
1.8 V640 Ω320 Ω160 Ω
2.0 V600 Ω300 Ω150 Ω
2.2 V560 Ω280 Ω140 Ω

電流が同じでも、\(V_F\) が高いと抵抗にかかる電圧は小さくなります。だから抵抗値も小さくなります。LED の色や型番を変えたら、同じ電流でよいかを決め直してから抵抗値を再計算します。

抵抗の電力定格をどう見るか

抵抗は電圧を受けて熱を出します。求めた損失 \(P_R\) が抵抗の定格電力を超えると、温度上昇が大きくなり、抵抗値の変化や劣化につながります。

抵抗損失は次のどちらでも求められます。

$$P_R = I_F^2R$$

$$P_R = (V_S – V_F)I_F$$

この式は、直列抵抗 1 本と LED 1 個の定常点灯を前提にしています。点滅駆動やパルス駆動では、ピーク電流と平均電力を別に見ます。

\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) では、抵抗にかかる電圧は 3.0 V です。このときの損失は次の通りです。

電流 \(I_F\)設計抵抗 \(R\)抵抗損失 \(P_R\)0.125 W 定格に対する余裕0.25 W 定格に対する余裕0.5 W 定格に対する余裕
5 mA600 Ω0.015 W8.33 倍16.7 倍33.3 倍
10 mA300 Ω0.030 W4.17 倍8.33 倍16.7 倍
15 mA200 Ω0.045 W2.78 倍5.56 倍11.1 倍
20 mA150 Ω0.060 W2.08 倍4.17 倍8.33 倍

この表では、電源電圧と \(V_F\) が固定なので、設計点の損失は電流に比例して増えます。一方、同じ抵抗を使ったまま電流が増えた場合は \(P_R = I_F^2R\) なので、損失は電流の 2 乗で増えます。

たとえば 150 Ω の抵抗に 10 mA、15 mA、20 mA が流れると、損失は次のようになります。

  • \(0.010^2 \times 150 = 0.0150\ \mathrm{W}\)
  • \(0.015^2 \times 150 = 0.0338\ \mathrm{W}\)
  • \(0.020^2 \times 150 = 0.0600\ \mathrm{W}\)

電流を 10 mA から 20 mA にすると 2 倍ですが、同じ抵抗での発熱は 4 倍になります。だから連続点灯では、計算値が定格以内でも、周囲温度、密閉、部品配置による放熱条件を見込んで余裕を持たせます。抵抗のデータシートにディレーティングがある場合は、それを優先します。

色ごとの LED で Vf が違うと何が変わるか

LED の順方向電圧は色で変わります。赤、黄、緑、青、白で代表値が異なり、同じ色でも型番と電流で変わります。ここでは固定値ではなく、計算例として \(V_F\) を振ります。

\(V_S = 5.0\ \mathrm{V}\)、\(R = 330\ \Omega\) のとき、実際の電流は次の式で求まります。

$$I_F = \frac{V_S – V_F}{R}$$

たとえば \(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) なら、

$$I_F = \frac{5.0 – 2.0}{330} = \frac{3.0}{330} = 0.00909\ \mathrm{A} = 9.09\ \mathrm{mA}$$

です。\(1\ \mathrm{A} = 1,000\ \mathrm{mA}\) なので、0.00909 A は 9.09 mA です。

\(V_F\) の例R = 220 ΩR = 330 ΩR = 470 Ω
1.8 V14.5 mA9.70 mA6.81 mA
2.0 V13.6 mA9.09 mA6.38 mA
2.2 V12.7 mA8.48 mA5.96 mA
3.0 V9.09 mA6.06 mA4.26 mA

\(V_F\) が低い LED ほど、抵抗にかかる電圧が大きくなります。だから同じ抵抗を使うと電流が増え、色ごとの明るさもそろいません。

3.3 V 系では、青色や白色など \(V_F\) が高い LED で抵抗に残る電圧が小さくなります。たとえば \(V_S = 3.3\ \mathrm{V}\)、\(R = 220\ \Omega\) では、\(V_F = 1.9\ \mathrm{V}\) で 6.36 mA、\(V_F = 2.1\ \mathrm{V}\) で 5.45 mA、\(V_F = 3.0\ \mathrm{V}\) で 1.36 mA です。

複数色を同じ電源で使う場合は、色ごとに抵抗を分けるのが基本です。色の違いを無視して同じ抵抗値を使うと、\(V_F\) の低い LED に電流が多く流れます。

ばらつき・温度・電源誤差で実際の電流はどうずれるか

LED の \(V_F\) は代表値であり、固定値ではありません。同じ型番でも個体差があります。また、温度が上がると一般に \(V_F\) は下がる方向に働くため、同じ抵抗では電流が増えやすくなります。

電源電圧も、公称 5 V ぴったりとは限りません。USB 電源、実験用電源、マイコン基板の 5 V ラインでは、負荷や配線抵抗で実測値が変わります。だから設計値だけでなく、マルチメータで電源電圧と LED 電流を確認します。

\(R = 330\ \Omega\) として、\(V_S\) と \(V_F\) を振ると次の通りです。

電源電圧 \(V_S\)\(V_F = 1.8\ \mathrm{V}\)\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\)\(V_F = 2.2\ \mathrm{V}\)
4.75 V8.94 mA8.33 mA7.73 mA
5.00 V9.70 mA9.09 mA8.48 mA
5.25 V10.5 mA9.85 mA9.24 mA

たとえば \(V_S = 5.25\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 1.8\ \mathrm{V}\) なら、

$$I_F = \frac{5.25 – 1.8}{330} = \frac{3.45}{330} = 0.01045\ \mathrm{A} = 10.5\ \mathrm{mA}$$

です。\(V_S = 4.75\ \mathrm{V}\)、\(V_F = 2.2\ \mathrm{V}\) の 7.73 mA と比べると、同じ 330 Ω でも約 1.35 倍の差になります。

電源誤差と LED ばらつきが重なると、設計電流を超えやすくなります。だからデータシートの絶対最大定格を上限として、代表値ではなく最悪条件側でも電流を確認します。

よくある失敗と確認手順

LED 回路の不具合は、症状から原因を絞れます。まず電流を測ると、抵抗値の選定ミス、\(V_F\) の見込み違い、配線ミスを分けやすくなります。

症状原因の候補確認方法対策
予想より明るい抵抗値が小さい、\(V_F\) が低い、電源電圧が高いLED と直列に電流計を入れて測る抵抗を大きくする、目標電流を下げる
暗い抵抗値が大きい、\(V_F\) が高い、電源電圧が低い電源電圧と抵抗両端電圧を測る抵抗を再計算する
LED が熱い電流が大きい、定格に近いLED 電流と点灯時間を確認する電流を下げる、電流と電力を定格内にする
抵抗が熱い抵抗損失が大きい、定格余裕が小さい\(P_R = I_F^2R\) で損失を計算する定格の大きい抵抗にする、電流を下げる
すぐ壊れる抵抗なし、極性違い、過電流配線と抵抗値を確認する直列抵抗を入れ、絶対最大定格を超えない

5 V 系で \(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) とすると、20 mA 設計では

$$R = \frac{5.0 – 2.0}{0.020} = 150\ \Omega$$

$$P_R = 3.0 \times 0.020 = 0.060\ \mathrm{W}$$

です。これを 10 mA 設計に下げると、

$$R = \frac{5.0 – 2.0}{0.010} = 300\ \Omega$$

$$P_R = 3.0 \times 0.010 = 0.030\ \mathrm{W}$$

になります。電流を半分にすると明るさは下がりますが、LED と抵抗の発熱も下がります。試作で寿命や温度上昇を優先するなら、最初から低めの電流で始めるほうが、過電流と発熱の余裕を取りやすくなります。

配線後に設計値より大きい電流が流れた場合は、次の順で確認します。

1. 電源電圧を LED 回路の近くで測る。2. 抵抗の実測値を測る。3. LED の向きと配線を確認する。4. 抵抗両端の電圧を測り、\(I = V_R / R\) で電流を再計算する。5. LED のデータシートで \(V_F\) の代表値と範囲、許容電流を確認する。

抵抗の色コードだけで判断すると、読み違いや桁違いが起きます。計算値、実装した抵抗値、実測電流を照合すると、原因を分けやすくなります。

ブレッドボードでの実務上の決め方

ブレッドボードでは、最初に代表値で計算し、次に実測で確認します。設計電流は LED の絶対最大定格より十分低く置きます。表示用 LED では、用途と周囲の明るさによっては、数 mA から 10 mA 程度でも必要な明るさを得られる場合があります。

\(V_F = 2.0\ \mathrm{V}\) として、電源電圧と目標電流を振った計算例です。

電源電圧 \(V_S\)5 mA10 mA15 mA
3.3 V260 Ω、0.0065 W130 Ω、0.013 W86.7 Ω、0.0195 W
5.0 V600 Ω、0.015 W300 Ω、0.030 W200 Ω、0.045 W
12.0 V2,000 Ω、0.050 W1,000 Ω、0.100 W667 Ω、0.150 W

表の各セルは「抵抗値、抵抗損失」です。たとえば 12 V 系、10 mA では、

$$R = \frac{12.0 – 2.0}{0.010} = 1,000\ \Omega$$

$$P_R = 10.0 \times 0.010 = 0.100\ \mathrm{W}$$

となります。12 V 系では 5 V 系より抵抗損失が大きくなるため、小形抵抗を定格ぎりぎりで使わないようにします。

複数の LED を並べる場合、各 LED に個別抵抗を付けるのが基本です。共通抵抗 1 本で複数 LED を並列にすると、\(V_F\) の低い LED に電流が寄りやすくなります。だから実務では、1 個の LED に 1 本の抵抗を割り当て、色ごと・型番ごとに計算します。

標準抵抗値を選ぶときは、計算値ぴったりがないことがあります。安全側に寄せるなら、計算値より少し大きい抵抗を選び、選んだ抵抗で \(I_F = (V_S – V_F)/R\) を再計算します。

まとめ

  • LED の直列抵抗は、\(R = (V_S – V_F)/I_F\) で決めます。
  • 抵抗損失は \(P_R = I_F^2R\) または \((V_S – V_F)I_F\) で確認します。
  • \(V_F\) は代表値であり、色、型番、温度、個体差で変わります。
  • 電源誤差と \(V_F\) ばらつきが重なる条件で、電流が定格を超えないかを見ます。
  • ブレッドボードでは、計算値、抵抗の実測値、LED 電流を照合してから連続点灯させます。
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この記事を書いた人

機械設計・油圧・CAD・Python・AIなど、ものづくりに関わる技術を扱っています。工学知識を整理・構造化し、設計や自動化に再利用できる形へ変えていくことを目指しています。

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