配管図や部品表を見ると、15A、20A、25A、1/2B、3/4Bといった表記が出てきます。
慣れている人なら、15Aを見ただけで「外径は約22 mm」、25Aなら「外径は34 mm」と、おおよその太さを思い浮かべられます。しかし、呼び方と実寸の関係を知らない段階では、「25Aなら直径25 mmなのか」「1Bなら25.4 mmなのか」と混乱しやすいところです。
結論からいえば、A呼称とB呼称は、配管サイズを識別するための呼び径です。実際の外径や内径をそのまま表す寸法ではありません。
この記事では、複雑な圧力損失計算や配管選定へ進む前に、配管の呼び方と現物の太さを結び付けるための基礎を整理します。
この記事の到達点
- A呼称とB呼称が同じ配管サイズの別表現だと分かる
- 呼び径、外径、内径、肉厚を区別できる
- 15Aから50Aまでの代表的な太さをイメージできる
- 「4分」「6分」「インチ」といった現場の呼び方を読める
- 呼称だけでは流路の内径を決められない理由を説明できる
A呼称とB呼称は配管サイズにつけられた名前
A呼称はミリメートル系、B呼称はインチ系の呼び方です。例えば、次の3つは同じ呼びサイズを示します。
15A = 1/2B = 4分
同様に、20Aは3/4B、25Aは1Bに対応します。
ここで重要なのは、A呼称の数字もB呼称の数字も、実際の外径を直接表していないことです。
配管サイズの名前:25A
対応するB呼称:1B
SGP鋼管の外径:34.0 mm
25Aだから外径25 mmになるわけではなく、1Bだから外径25.4 mmになるわけでもありません。A呼称とB呼称は、同じ系列の配管、継手、バルブなどを組み合わせるための共通名称として捉えると理解しやすくなります。
呼び径・外径・内径・肉厚を分けて考える
配管の寸法を理解するには、少なくとも次の4つを分けます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 呼び径 | 配管サイズを識別する名称。15Aや1/2Bなど |
| 外径 | 管の外側の直径 |
| 肉厚 | 管壁の厚さ |
| 内径 | 流体が通る内側の直径 |
基本的な関係は次のとおりです。
[
d = D – 2t
]
- (D):外径
- (t):肉厚
- (d):内径
同じ呼び径で外径が同じでも、管種やスケジュールが変わって肉厚が厚くなれば、内径は小さくなります。したがって、呼び径だけを見て流路面積や流速を正確に計算することはできません。
呼び径
→ 外径系列を特定する
→ 規格・管種・肉厚を確認する
→ 内径が決まる
まず覚えたい15Aから50A
次の表は、一般配管用のSGP鋼管を例にした代表寸法です。外径と肉厚はJIS G 3452の寸法系列に基づき、内径の目安は「外径-肉厚×2」で算出しています。
| A呼称 | B呼称 | 現場での呼び方 | 外径 | SGP肉厚 | 内径の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 15A | 1/2B | 4分 | 21.7 mm | 2.8 mm | 16.1 mm |
| 20A | 3/4B | 6分 | 27.2 mm | 2.8 mm | 21.6 mm |
| 25A | 1B | インチ | 34.0 mm | 3.2 mm | 27.6 mm |
| 32A | 1 1/4B | インチ2分 | 42.7 mm | 3.5 mm | 35.7 mm |
| 40A | 1 1/2B | インチ半 | 48.6 mm | 3.5 mm | 41.6 mm |
| 50A | 2B | 2インチ | 60.5 mm | 3.8 mm | 52.9 mm |
この表を一度に暗記する必要はありません。最初の基準として、次の3本を覚えると全体をつかみやすくなります。
15A:外径 約22 mm
25A:外径 34 mm
50A:外径 約60 mm
15Aは500円硬貨の直径26.5 mmより少し細く、20Aは500円硬貨に近い太さです。25Aになると外径34 mmで、15Aより見た目にも一段太くなります。50Aは外径60.5 mmなので、直径約60 mmの円柱としてイメージできます。
身近な物との比較は厳密な測定には使えませんが、図面上の呼称を立体的な太さへ変換する練習には役立ちます。
「分」は1インチを8等分した呼び方
配管やねじの現場では、インチ寸法を「分」で呼ぶことがあります。この場合、1インチを8等分して考えます。
| 分での呼び方 | インチ表記 | 対応するA呼称 |
|---|---|---|
| 1分 | 1/8B | 6A |
| 2分 | 1/4B | 8A |
| 3分 | 3/8B | 10A |
| 4分 | 1/2B | 15A |
| 6分 | 3/4B | 20A |
| 1インチ | 1B | 25A |
5/8Bや7/8Bに対応する一般的なA呼称が表に出てこないため、実務で頻繁に耳にするのは1分、2分、3分、4分、6分、インチといった呼び方です。
「4分」は4/8インチ、つまり1/2インチです。「6分」は6/8インチを約分した3/4インチです。この対応を理解すると、丸暗記する量を減らせます。
なぜ呼び径と実寸が一致しないのか
配管は、流体を通す内側の大きさを基準に呼ばれてきた歴史があります。しかし、必要な強度や製造方法によって肉厚が変わると、実際の内径も変化します。
一方、継手やフランジなどを接続するには、外側の寸法系列を統一しなければなりません。そのため現在の呼び径は、実測寸法というより、互換性のある部品群を指定するための名称として機能しています。
このため、25Aを25 mmへ単純変換しようとすると混乱します。
誤った捉え方:25A = 直径25 mm
実務的な捉え方:
25A = 配管サイズの名称
= 1Bと対応
= SGPなら外径34.0 mm
= 肉厚を確認して内径を求める
25Aとφ25を混同しない
図面で25Aとφ25が出てきた場合、この2つは別の意味です。
25A:配管の呼び径φ25:直径25 mmという実寸
同じように、鋼管、精密配管用鋼管、油圧配管用チューブ、ホースでは、サイズの表し方が異なる場合があります。外径基準で指定する管を、A呼称の配管と同じ感覚で扱うことはできません。
特に油圧回路では、次の情報を切り分けて確認する必要があります。
- 配管かチューブかホースか
- 適用規格
- 呼び径か実外径か
- 肉厚またはスケジュール
- 継手側のねじ・接続規格
「数字が同じだから接続できる」と判断せず、どの寸法体系の数字なのかを確認することが重要です。
配管サイズを体感的に覚える方法
寸法表を読むだけでは、呼称と現物の感覚はなかなか結び付きません。実物、図面、部品表を往復すると定着しやすくなります。
現物の外径を測る
ノギスを使える環境なら、現物の外径を測り、寸法表と照合します。
図面で呼称を確認する
→ 現物を見る
→ 外径を測る
→ 規格表と照合する
例えば外径がおよそ34 mmなら、SGPなどの呼び径系列では25Aが候補になります。ただし、外径だけで材質、肉厚、規格まで断定はできません。
自分用の基準寸法を3本決める
まず15A、25A、50Aを基準として覚えます。その後、20A、32A、40Aを間に配置します。
15A:φ21.7
20A:φ27.2
25A:φ34.0
32A:φ42.7
40A:φ48.6
50A:φ60.5
この並びを、単なる数字の列ではなく、徐々に太くなる実物の列として見ることが大切です。
図面で見つけた呼称を毎回変換する
図面で20Aを見たら、頭の中で次のように言い換えます。
20A
→ 3/4B
→ 6分
→ 外径約27 mm
この変換を繰り返すと、呼称を見ただけで太さが浮かぶようになります。
よくある誤解
A呼称の数字が内径だと思う
A呼称は公称上のサイズであり、現在の実内径と一致するとは限りません。正確な内径が必要なら、管種と肉厚を確認します。
B呼称に25.4を掛ければ外径になると思う
1Bは25.4 mmという単位換算ですが、1B配管の実外径が25.4 mmという意味ではありません。SGPの25A・1Bの外径は34.0 mmです。
同じA呼称なら内径も同じだと思う
同じ呼び径でも、肉厚が違えば内径は変わります。流速や圧力損失を計算するときは、実内径を使用します。
配管・チューブ・ホースの呼び方を同一視する
製品群によってサイズ体系が違います。必ずメーカー資料、適用規格、継手仕様を確認します。
実務で確認するためのミニ演習
身近な図面や部品表から、異なる呼び径を5件だけ探します。機密情報を持ち出さず、次の項目だけを自分用の表に記録します。
| 項目 | 記録内容 |
|---|---|
| A呼称 | 15A、20Aなど |
| B呼称 | 1/2B、3/4Bなど |
| 現場呼称 | 4分、6分など |
| 管種・規格 | SGP、圧力配管用鋼管など |
| 外径 | 規格表または実測値 |
| 肉厚 | 図面・仕様・規格表で確認 |
| 用途 | 圧力、戻り、吸込み、ドレンなど |
最初の段階では「この流量なら何Aか」まで判断する必要はありません。まず、呼称を見て現物の太さが浮かぶ状態を目指します。
まとめ
A呼称とB呼称は、配管サイズを示す呼び径であり、実際の直径そのものではありません。
A呼称・B呼称
→ 同じ配管サイズの別表現
→ 外径を規格表で確認
→ 肉厚を確認
→ 内径を求める
最初に覚える基準は、15Aが外径約22 mm、25Aが34 mm、50Aが約60 mmです。この3本を基準に20A、32A、40Aを配置すると、配管径を体感的につかみやすくなります。
呼称と現物の太さが結び付いた後で、流量、流速、圧力損失、肉厚、耐圧といった設計要素へ進むと、計算結果を数字だけでなく実物感覚でも判断できるようになります。
参考資料
寸法・材料・使用条件を実設計へ適用する際は、対象製品の最新版規格、メーカー仕様書、社内設計基準を確認してください。

