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UNIT 04電気・電子・制御 FIG.00 · EYECATCH

電気の単位と符号|電荷・電流・電圧・電力・エネルギーの換算と向きの決め方

電荷、電流、電圧、抵抗、電力、エネルギーの意味と単位をそろえ、I = Q / t、P = VI、E = Ptで相互換算できるようにします。回路図で電流の仮定方向と電圧極性を一貫して置き、符号が何を意味するかも整理します。

DOC NO.EKP-04-1445
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電気回路の計算は、まず単位と符号をそろえるところから始まります。電荷、電流、電圧、電力、エネルギーを分けておくと、式の意味と計算結果の符号を同じ線で読めます。

STEP 1 / 16|機械・油圧技術者が電気回路を計算して読むための基礎

$$I = \frac{Q}{t},\quad P = VI,\quad E = Pt,\quad 1 \mathrm{Wh} = 3,600 \mathrm{J}$$

  • 電荷 \(Q\) は「量」、電流 \(I\) は「流れる速さ」、電圧 \(V\) は「1 C あたりのエネルギー差」です。
  • A、C、V、W、Wh、J は、式に入れる前に関係をそろえます。特に min → s、h → s、mA → A、Wh → J の換算を先に済ませます。
  • 電流の仮定方向と電圧極性は、計算の前に決めます。逆なら結果が負になります。
  • 電力 \(P\) は瞬時の仕事率、エネルギー \(E\) は時間で積算した量です。
  • Wh と J を換算できると、機器の消費量と物理量をつなげて読めます。
目次

電荷・電流・電圧を同じ軸で見る

電荷 \(Q\) は、電気の量です。単位は C(クーロン)です。電流 \(I\) は、単位時間あたりに通過する電荷の量です。

$$I = \frac{Q}{t}$$

  • \(I\): 電流 [A]
  • \(Q\): 電荷 [C]
  • \(t\): 時間 [s]

1 A は 1 秒に 1 C が流れる量なので、\(1 \mathrm{A} = 1 \mathrm{C/s}\) です。たとえば \(I = 2.5 \mathrm{A}\)、\(t = 12 \mathrm{min}\) なら、先に時間を秒へ直します。

\(12 \mathrm{min} = 12 \times 60 = 720 \mathrm{s}\) なので、

$$Q = It = 2.5 \mathrm{A} \times 720 \mathrm{s} = 1,800 \mathrm{C}$$

流れる量 \(Q\) が同じでも、時間 \(t\) が長いほど電流 \(I\) は小さくなります。だから電流は「総量」ではなく「速さ」として読みます。

電流 I1 min の Q10 min の Q60 min の Q
0.5 A30 C300 C1,800 C
1.0 A60 C600 C3,600 C
2.5 A150 C1,500 C9,000 C
5.0 A300 C3,000 C18,000 C

電圧 \(V\) は、2 点間で 1 C の電荷あたりに対応するエネルギー差です。単位は V(ボルト)です。

$$V = \frac{W}{Q}$$

  • \(V\): 電圧 [V]
  • \(W\): 仕事、エネルギー [J]
  • \(Q\): 電荷 [C]

1 V は 1 C あたり 1 J のエネルギー差なので、\(1 \mathrm{V} = 1 \mathrm{J/C}\) です。\(W = 18 \mathrm{J}\)、\(Q = 3 \mathrm{C}\) なら、

$$V = \frac{18 \mathrm{J}}{3 \mathrm{C}} = 6.0 \mathrm{V}$$

1 C あたりのエネルギー差が大きいほど、電圧は高くなります。だから電圧は、電位差として回路の 2 点を結ぶ量として扱います。ただし電圧は必ず「2 点間の差」です。単独の点に 12 V と書くときは、0 V と決めた基準点に対する値です。

QW = 6 JW = 12 JW = 24 JW = 60 J
1 C6.0 V12 V24 V60 V
3 C2.0 V4.0 V8.0 V20 V
6 C1.0 V2.0 V4.0 V10 V
12 C0.5 V1.0 V2.0 V5.0 V

なお、回路計算で使う電流の向きは、慣習的な「正の電荷が流れる向き」です。電子の移動方向は逆ですが、ここでは混ぜずに電流方向で統一します。

A・C・V・W・J・Wh をそろえる

式に入れる前に単位をそろえると、計算の意味が崩れません。基本の関係は次の 4 つです。

$$1 \mathrm{A} = 1 \mathrm{C/s}$$

$$1 \mathrm{V} = 1 \mathrm{J/C}$$

$$1 \mathrm{W} = 1 \mathrm{J/s}$$

$$1 \mathrm{Wh} = 3,600 \mathrm{J}$$

W(ワット)は電力、Wh(ワット時)はエネルギーです。名前が似ていますが、時間を掛けたかどうかで意味が変わります。

たとえば \(2.5 \mathrm{A}\) を \(12 \mathrm{min}\) 流したときの電荷は、

\(12 \mathrm{min} = 720 \mathrm{s}\) より、

$$Q = 2.5 \mathrm{C/s} \times 720 \mathrm{s} = 1,800 \mathrm{C}$$

A と s が結びつくと、電流を「毎秒どれだけ流れるか」で読めます。だから、min や h のまま式へ入れず、秒へ直してから代入します。

時間秒に直した値2.5 A のときの Q
1 s1 s2.5 C
1 min60 s150 C
10 min600 s1,500 C
1 h3,600 s9,000 C

次に、\(12 \mathrm{V}\)、\(3 \mathrm{A}\) の負荷を \(1 \mathrm{h}\) 動かす場合です。電力は後で詳しく扱いますが、ここでは \(P = VI\) を使います。

$$P = 12 \mathrm{V} \times 3 \mathrm{A} = 36 \mathrm{W}$$

1 h 動かすので、

$$E = 36 \mathrm{W} \times 1 \mathrm{h} = 36 \mathrm{Wh}$$

J に直すと、\(1 \mathrm{h} = 3,600 \mathrm{s}\) なので、

$$E = 36 \mathrm{J/s} \times 3,600 \mathrm{s} = 129,600 \mathrm{J}$$

Wh と J の差を押さえると、設備の消費電力量と瞬時電力を混同しません。電力量を求めるときは、電力に運転時間を掛けます。

電力1 h 当たりの WhJ に換算
1 W1 Wh3,600 J
10 W10 Wh36,000 J
100 W100 Wh360,000 J
1 kW1,000 Wh3,600,000 J

電力は電圧と電流の積で決まる

電力 \(P\) は、単位時間あたりに電気がする仕事です。直流の定常状態では、次の式で扱います。

$$P = VI$$

  • \(P\): 電力 [W]
  • \(V\): 電圧 [V]
  • \(I\): 電流 [A]

\(V = 12 \mathrm{V}\)、\(I = 3 \mathrm{A}\) なら、

$$P = 12 \mathrm{V} \times 3 \mathrm{A} = 36 \mathrm{W}$$

電圧が同じなら、電流が増えるほど電力は比例して増えます。だから負荷の大きさは、A だけでなく W でも見ます。

抵抗 \(R\) が分かる部品では、後で扱う抵抗の関係 \(V = IR\) と組み合わせて、次の形にもできます。

$$P = I^2R$$

$$P = \frac{V^2}{R}$$

  • \(R\): 抵抗 [Ω]

たとえば \(R = 6 \Omega\)、\(V = 12 \mathrm{V}\) なら、

$$I = \frac{V}{R} = \frac{12 \mathrm{V}}{6 \Omega} = 2.0 \mathrm{A}$$

$$P = VI = 12 \mathrm{V} \times 2.0 \mathrm{A} = 24 \mathrm{W}$$

同じ条件を \(P = V^2/R\) で計算しても、

$$P = \frac{(12 \mathrm{V})^2}{6 \Omega} = \frac{144}{6} = 24 \mathrm{W}$$

また \(R = 6 \Omega\)、\(I = 2.0 \mathrm{A}\) なら、

$$P = I^2R = (2.0 \mathrm{A})^2 \times 6 \Omega = 24 \mathrm{W}$$

同じ 12 V をかけても、抵抗が小さいほど電流が増え、電力も増えます。

RV = 12 V のときの IP
1 Ω12 A144 W
2 Ω6.0 A72 W
6 Ω2.0 A24 W
12 Ω1.0 A12 W

一方、抵抗を 6 Ω に固定すると、電流の 2 乗で電力が増えます。電流が 2 倍なら、発熱に関係する電力は 4 倍です。

IR = 6 Ω のときの P
1 A6 W
2 A24 W
3 A54 W
4 A96 W

電力と電流の関係は、LED の電流制限でも使います。

エネルギーは電力を時間で積算した量

エネルギー \(E\) は、電力 \(P\) を時間 \(t\) だけ積算した量です。定常負荷では次の式で計算できます。

$$E = Pt$$

  • \(E\): エネルギー [J] または [Wh]
  • \(P\): 電力 [W]
  • \(t\): 時間 [s] または [h]

\(P = 36 \mathrm{W}\)、\(t = 1 \mathrm{h}\) なら、

$$E = 36 \mathrm{W} \times 1 \mathrm{h} = 36 \mathrm{Wh}$$

J では、

$$E = 36 \mathrm{J/s} \times 3,600 \mathrm{s} = 129,600 \mathrm{J}$$

\(P = 12 \mathrm{W}\)、\(t = 30 \mathrm{min}\) なら、\(30 \mathrm{min} = 0.5 \mathrm{h} = 1,800 \mathrm{s}\) です。

$$E = 12 \mathrm{W} \times 0.5 \mathrm{h} = 6.0 \mathrm{Wh}$$

$$E = 12 \mathrm{J/s} \times 1,800 \mathrm{s} = 21,600 \mathrm{J}$$

電力は瞬間の大きさ、エネルギーは時間積算です。短時間の大電力と長時間の小電力は、同じエネルギーになることがあります。

P10 min1 h8 h
10 W1.67 Wh / 6,000 J10 Wh / 36,000 J80 Wh / 288,000 J
50 W8.33 Wh / 30,000 J50 Wh / 180,000 J400 Wh / 1,440,000 J
100 W16.7 Wh / 60,000 J100 Wh / 360,000 J800 Wh / 2,880,000 J
500 W83.3 Wh / 300,000 J500 Wh / 1,800,000 J4,000 Wh / 14,400,000 J

同じ W でも、動作時間が長いほど \(E\) は比例して増えます。保全で消費量や発熱の影響を見るときは、起動時の大きさだけでなく稼働時間も見ます。

時間P = 36 W のときの E
1 min0.60 Wh / 2,160 J
10 min6.0 Wh / 21,600 J
1 h36 Wh / 129,600 J
8 h288 Wh / 1,036,800 J

電流の向きと電圧極性を先に決める

回路図では、電流の仮定方向を先に置きます。次に、電圧の + と − を決めます。計算で負号が出たら、実際の向きが仮定と逆だったと読みます。

ここでは、受動符号規約を使います。これは「電流が部品の + 側へ入る向きを正にする」決め方です。この決め方なら、\(P = VI\) の正負で、部品が電力を吸収しているか供給しているかを読めます。

6 Ω の抵抗で、左端を +、右端を − とし、左から右へ電流を仮定します。左端が右端より 12 V 高いなら、

$$I = \frac{12 \mathrm{V}}{6 \Omega} = 2.0 \mathrm{A}$$

$$P = 12 \mathrm{V} \times 2.0 \mathrm{A} = 24 \mathrm{W}$$

電流は仮定どおり左から右です。電力が正なので、この抵抗は 24 W を吸収します。

同じ仮定で、計算結果が \(I = -2.0 \mathrm{A}\) になった場合は、実際の電流が右から左へ 2.0 A 流れている、という意味です。負号は物理量が壊れた意味ではなく、選んだ基準と逆向きという情報です。

置き方式に入る V仮定した I読み方
左を +、右を −。電流は左→右+12 V+2.0 A仮定どおり左→右
左を +、右を −。電流は左→右-12 V-2.0 A実際は右→左
右を +、左を −。電流は右→左+12 V+2.0 A仮定どおり右→左

電源では符号の読み方が特に効きます。12 V の電源から 3 A が + 端子から外へ出ている場合、受動符号規約では「+ 端子へ入る電流」を正にするので、その電流は \(I = -3 \mathrm{A}\) です。

$$P = 12 \mathrm{V} \times (-3 \mathrm{A}) = -36 \mathrm{W}$$

電力が負なので、この電源は外部へ 36 W を供給しています。向きを先に決めると、式の符号が一貫します。だから複数の式を使うときも、途中で向きを変えません。

現場で値がずれる条件を見る

理論式では、測っている 2 点と電流の枝がはっきりしている前提です。実際の盤や装置では、測定位置、配線抵抗、温度、計器の内部抵抗で値がずれます。

たとえば電源端子で 12.0 V、負荷端子で 11.4 V、負荷電流が 3.0 A だったとします。負荷で使われる電力は、負荷端子電圧で計算します。

$$P_{load} = 11.4 \mathrm{V} \times 3.0 \mathrm{A} = 34.2 \mathrm{W}$$

電源端子の 12.0 V で計算すると、

$$P = 12.0 \mathrm{V} \times 3.0 \mathrm{A} = 36.0 \mathrm{W}$$

差は \(36.0 – 34.2 = 1.8 \mathrm{W}\) です。電圧降下は \(12.0 – 11.4 = 0.6 \mathrm{V}\) なので、配線側で失われる電力は、

$$P_{wire} = 0.6 \mathrm{V} \times 3.0 \mathrm{A} = 1.8 \mathrm{W}$$

測る位置が違うと \(V\) が変わります。すると同じ 3.0 A を掛けても、計算される \(P\) は変わります。だから回路図やメモには、電源端子、負荷端子、配線途中のどこで測ったかを書きます。

測定位置測定電圧3.0 A としたときの V×I読み方
電源端子12.0 V36.0 W電源側から見た値
配線途中11.7 V35.1 W配線の途中まで降下後
負荷端子11.4 V34.2 W負荷に実際に掛かる値

電流も同じです。分岐がある回路で \(I = 3 \mathrm{A}\) とだけ書くと、全体の電流か、ある枝の電流かが分かりません。\(P = VI\) に入れる電流は、その電圧を測った負荷や枝を流れる電流です。

抵抗値は温度でも変わります。ここでは代表的な影響を見るため、6 Ω の抵抗が温度で 1.00 倍、1.10 倍、1.25 倍になったと仮定します。12 V をかけると、電流と電力は次のように変わります。

条件RI = V/RP = V²/R
常温相当6.0 Ω2.00 A24.0 W
やや高温相当6.6 Ω1.82 A21.8 W
高温相当7.5 Ω1.60 A19.2 W

温度で \(R\) が変わると、\(I\) と \(P\) も変わります。だから理論値は代表値として扱い、測定条件と部品の温度を切り分けて見ます。

符号と単位のミスを計算前に潰す

単位ミスは、式そのものが合っていても結果を大きく外します。特に A と mA、min と s、W と Wh は混同しやすい単位です。

3 A は、正しく換算すれば 3,000 mA です。

$$3 \mathrm{A} = 3 \times 1,000 = 3,000 \mathrm{mA}$$

しかし 3 mA を 3 A として扱うと、電流は 1,000 倍です。12 V の負荷なら、

$$P = 12 \mathrm{V} \times 3 \mathrm{A} = 36 \mathrm{W}$$

$$P = 12 \mathrm{V} \times 0.003 \mathrm{A} = 0.036 \mathrm{W}$$

36 W と 0.036 W では 1,000 倍違います。だから mA は、式に入れる前に A へ直します。

表記A に直す10 s 流したときの Q
1 mA0.001 A0.010 C
10 mA0.010 A0.10 C
1 A1.0 A10 C
10 A10 A100 C

時間の単位も、そのまま結果へ効きます。\(I = 2.5 \mathrm{A}\) で 12 min 流した場合は、

$$12 \mathrm{min} = 720 \mathrm{s}$$

$$Q = 2.5 \mathrm{A} \times 720 \mathrm{s} = 1,800 \mathrm{C}$$

12 s と読んでしまうと、

$$Q = 2.5 \mathrm{A} \times 12 \mathrm{s} = 30 \mathrm{C}$$

差は \(1,800/30 = 60\) 倍です。時間の単位を間違えると、\(Q\) と \(E\) はそのままずれます。

時間秒に直した値I = 2.5 A の Q
1 s1 s2.5 C
60 s60 s150 C
600 s600 s1,500 C
3,600 s3,600 s9,000 C

符号のミスは、電流方向を途中で変えたときに起きます。負号が出たら、まず「仮定した向きと逆ではないか」を見ます。そこで向きを描き直してから、電力が吸収か供給かを読みます。

まとめ

  • \(Q\) は量、\(I\) は量の流れる速さ、\(V\) は 1 C あたりのエネルギー差です。
  • \(P = VI\) は瞬時の仕事率、\(E = Pt\) は時間で積算したエネルギーです。
  • min、h、mA、Wh は、式に入れる前に s、A、J との関係を確認します。
  • 電流方向と電圧極性を先に決めると、負号を「逆向き」の情報として読めます。
  • 実測では、測定位置、分岐、温度、配線抵抗で値が変わります。

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この記事を書いた人

機械設計・油圧・CAD・Python・AIなど、ものづくりに関わる技術を扱っています。工学知識を整理・構造化し、設計や自動化に再利用できる形へ変えていくことを目指しています。

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